Last update : 2024.07.10

日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第2部】オベシティスティグマ解消の
アドボカシー活動

第2部座長

石垣 泰 先生
ご氏名 石垣 泰 先生
ご所属 岩手医科大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科
ご講演タイトル 〈第二部〉オベシティスティグマ解消のアドボカシー活動
略歴
1993年3月 東北大学医学部 卒業
2000年3月 東北大学大学院医学系研究科 卒業
2001年4月 東北大学附属病院糖尿病代謝科医員
2004年1月 東北大学病院糖尿病代謝科助手
2008年9月 東北大学病院糖尿病代謝科講師
2010年4月 東北大学大学院医学系研究科
分子代謝病態学分野准教授
2013年5月 東北大学大学院医学系研究科
糖尿病代謝内科学分野准教授
2013年9月 岩手医科大学医学部内科学講座
糖尿病・代謝内科分野教授
2018年4月 岩手医科大学医学部内科学講座
糖尿病・代謝・内分泌内科分野教授

ご発表内容の要約

私が司会を務めさせていただいた第2部「オベシティスティグマ解消のアドボカシー活動」では、基調講演として東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻保健社会行動学分野の加藤明日香先生から「肥満症のスティグマとアドボカシー」の演題でお話しいただいた。加藤先生からは、国に関わりなく肥満についてネガティブなステレオタイプが共通していることを最初にご紹介いただいた。こうしたスティグマが医療者にも内包されていることが、医療を実践する際に患者のネガティブな感情を助長することにつながり、患者と医療の距離を広げてしまう状況を解説いただいた。こうしたオベシティスティグマの緩和をめざしたアドボカシー活動を行うことで、慢性疾患としての肥満症の考え方を医療者も含めた多くの人々に認識していただく必要があることを学んだ。
続いて、東邦大学医療センター佐倉病院メンタルヘルスクリニックの林 果林先生からは、「オベシティスティグマの実態と問題点」と題して肥満症治療を困難にさせる要因としてのオベシティスティグマの問題について講演いただいた。国際的な研究の中の日本人の結果から、肥満は治療可能な疾患とは捉えられておらず、医師に相談しない傾向にあることが示された。また、オベシティスティグマの解決のためには正しい知識の普及と啓発活動が重要であることもご教示いただいた。講演の中では、日本肥満学会を中心にオベシティスティグマの解消に向けた様々なアドボカシー活動が行われていることが紹介された。
お二人の先生方の講演を聴講し、私たち肥満症を専門とする者の中にも、もやもやした形で存在していたオベシティスティグマの概念がはっきり見えてきたと感じられた。またその解決に向けて参加者それぞれの立場でアドボカシー活動に取り組んでいく重要性と、その指針を示していただけた素晴らしいセッションであった。

以上