Last update : 2024.07.10

日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果

発表者

ご氏名 原 光彦 先生
参画学会 公益社団法人 日本小児科学会
ご所属 和洋女子大学 家政学部 健康栄養学科
ご講演タイトル 小児肥満症に伴う健康障害と発症・重症化予防に向けた
日本小児科学会の取組
学歴・職歴
1990年 日本大学医学部大学院 医学研究科卒業(医学博士)
1990年 日本大学附属板橋病院小児科
2007年 都立広尾病院小児科部長
2015年 東京家政学院大学 現代生活学部 健康栄養学科教授
2022年から現職
所属学会 日本肥満学会(理事・専門医/指導医)、日本肥満症治療学会(理事)日本臨床栄養学会(理事・認定臨床栄養医/指導医)、日本成長学会(理事)、日本小児保健協会(理事)、日本小児科学会(専門医/指導医)日本スポーツ協会 公認スポーツドクター等
社会活動 スポーツ少年団常任委員、東京都予防医学協会 学校保健専門委員等
受賞歴 文部科学省 社会教育功労者表彰、第67回日本小児保健協会学術集会 優秀演題賞 等

ご発表内容の要約

日本小児科学会は、1896年に小児科研究会として発足し小児科学の研究と小児医療の進歩・発展を目的とした、約22000人の会員を擁する学術集団である。日本小児科学会には25の分科会があり、小児肥満・肥満症や小児生活習慣病対策に関連するのは、日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児内分泌学会、日本小児循環器学会等である。日本小児科学会は、更に、こどもに関わる諸問題の協議を行なっている日本小児医療保健協議会(四者協)の構成団体の一つで、四者協の合同委員会として栄養委員会がある。
小児肥満症診療ガイドライン2017に示されている様に、肥満は小児期から、高血圧、睡眠時無呼吸症候群、2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、脂質異常症、高尿酸血症、運動器機能障害、自尊心低下、いじめによる不登校など様々な健康障害を引き起こす。特に、内臓脂肪型肥満は、小児期から動脈硬化を促進させ将来の心血管病発症リスクを上昇させる。従って、こども達の健やかな成長と生活習慣病の予防、国民の健康寿命延伸のためには、小児期からの肥満予防や肥満症対策が必要である。
2017年以降に日本小児科学会が関係した主な小児肥満・肥満症に関する取り組みは以下の通りである。

  1. 1)2017年
    第11回子どもの食育を考えるフォーラム〜みんなで考えよう幼児期の肥満〜の開催:四者協栄養委員会
  2. 2)2019年
    幼児肥満ガイドの公開(日本小児科学会HP):四者協栄養委員会
    https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=110
  3. 3)2023年
    冠動脈疾患一次予防に関する診療ガイドライン改定:日本循環器学会からの依頼により日本小児循環器学会委員が編集・執筆
    https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_fujiyoshi.pdf
    小児栄養分野管理栄養士・栄養士認定制度の構築:四者協、日本臨床栄養学会、日本栄養士会共同で新制度を設定
    https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/pediatricnutrition/

小児肥満・肥満症に関して、今後取り組むべき課題を以下に示す。

  1. 1)小児肥満・肥満症症に関する正しい情報発信
  2. 2)小児肥満症診療に関する研修システムの充実と関与する小児科医の増員
  3. 3)小児・思春期肥満症に対する薬物療法や外科療法(減量代謝改善手術)適応基準の検討
  4. 4)小児肥満症の早期発見:小児生活習慣病予防健診の標準化・予算措置・法定化の要望提出

世界最速で少子高齢化が進行中の我が国では、小児肥満・肥満症・生活習慣病対策は医学的社会的な重要課題の一つである。日本小児科学会は、今後も関連する分科会活動や四者協の栄養委員会活動を通じてこの問題に取り組んでいきたい。

以上