Last update : 2024.07.10

日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果

発表者

ご氏名 龍野 一郎 先生
参画学会 日本肥満症治療学会
ご所属 千葉県立保健医療大学
ご講演タイトル 基調講演:日本肥満症治療学会の取り組む肥満外科手術を含む
統合的肥満症治療の確立とその普及
略歴
1982年3月 千葉大学医学部卒業
1989年6月 米国チューレン大学医学部内科 客員講師
1994年8月 厚生技官(成田空港検疫所)検疫医療専門職
1996年4月 千葉大学保健管理センター 助手
1998年4月 千葉大学医学部附属病院第二内科 講師
2005年4月 千葉大学医学部附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科 
科長
2005年5月 千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学講座 
助教授
2011年8月 東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病
内分泌代謝センター 教授
2012年4月 東邦大学医学部内科講座糖尿病代謝
内分泌学分野(佐倉)教授
2014年6月 東邦大学医療センター佐倉病院 
副院長(教育担当)・栄養部長
2021年4月 千葉県立保健医療大学長

ご発表内容の要約

日本肥満症治療学会は肥満症の治療を中心に、基礎的、臨床的に研究・討議し、科学的で適切な治療指針を出し、有効かつ安全な肥満治療の普及をはかり、合併症予防、健康回復に寄与することを使命として、中でもBMI35以上の高度肥満に焦点をあて、食事・運動・薬物・認知行動療法に加え、肥満外科手術(減量・代謝改善手術)を取り入れた統合的肥満症治療の確立とそのための人材育成・施設整備に取り組んできました。
高度肥満患者(BMI35以上)は日本国内に約60万人程度存在するとされ、その多くが肥満ステイグマにさらされ、栄養・運動といった内科治療では限界がありましたが、現在、国内において肥満外科療法の有効性が確立され、外科療法が急速に広がっています。また、肥満外科手術は2型糖尿病を含めた代謝性疾患に対して、体重減少を超えた糖代謝改善効果が認め、減量・代謝改善手術と呼ばれるようになりました。ただ、肥満外科治療には多職種参加型チーム医療による術前・術後の長期的診療体制の整備が必須であり、施設整備と手術症例のレジストリー制度を学会で取り組み、2024年4月1日現在、全国の28施設を安全で有効な減量・代謝改善手術を行なえる施設として認定しています。
また、学会は早期から患者の心のケアに取り組むため、メンタルヘルス・行動医学部会を設置し、「肥満症治療に必須な心理的背景の把握と対応(2016年)」「減量・代謝改善手術のためのメンタルヘルスガイドブック2022(2022年)」といった書籍を刊行しています。そして、これらの最新の成果をまとめて、「減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン 2024」を刊行予定です。


年表
1982 年 日本初の肥満外科手術:川村 功(千葉大学)。
1983 年 第1 回肥満治療研究会:佐藤 博(千葉大学)。
1994 年 第12 回肥満栄養障害研究会に名称変更して開催:村田光範(東京女子医科大学)。
2008 年 肥満栄養障害研究会,難治性肥満症研究会,フォーミュラ食品臨床研究会が合体して「日本肥満症治療学会」を創設:初代理事長 齋藤 康(千葉大学)。
2010 年 「日本における高度肥満症対する安全で卓越した外科治療のためのステートメント」を公表。
2013 年 「日本における高度肥満症に対する安全で卓越した外科治療のためのガイドライン」を公表。「肥満症の総合的治療ガイド2013」を刊行。
2015 年 肥満外科手術実施施設の認定制度とレジストリー制度を開始。
2016 年 平成28年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「食欲中枢異常による難治性高度肥満症の実態調査」(龍野班)(J-SMART 研究)にて,我が国の肥満外科治療の実態を調査研究。「肥満症治療に必須な心理的背景の把握と対応」を刊行。
2018 年 日本肥満学会「神戸宣言2018」に参加。
2019 年 第37 回日本肥満症治療学会学術集会 細谷好則(自治医科大学)と第40 回日本肥満学会 横手幸太郎(千葉大学)が初めて東京で合同開催。日本糖尿病学会,日本肥満学会,日本肥満症治療学会の3 学会で「日本人の肥満2 型糖尿病患者に対する減量(代謝)手術の適応基準を検討する合同委員会」の設置。
2021 年 日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本肥満症治療学会の3学会合同で「日本人の肥満2 型糖尿病患者に対する減量・代謝改善手術に関するコンセンサスステートメント」を発表,刊行。
2022 年 日本老年医学会・日本肥満学会・日本肥満症治療学会で「日本人高齢者に対する減量・代謝改善手術の適応基準を検討する3 学会合同委員会」を設置,シンポジウム開催。「減量・代謝改善手術のためのメンタルヘルスガイドブック2022」を刊行。
2023 年 日本肝臓学会と「日本人のNASH/NAFLD 対する減量・代謝改善手術の適応基準を検討する合同委員会」を設置し,シンポジウム開催。
2024 年 「減量・代謝改善手術のための包括的な肥満症治療ガイドライン2024」を刊行。日本整形外科学会・日本肥満学会・日本肥症治療学会の3 学会合同で「日本人の肥満を合併する整形外科系疾患患者の診療ガイドラインを検討する日本整形外科学会・日本肥満学会・日本肥症治療学会3 学会合同委員会」を設置予定。日本産科婦人科学会,日本肥満学会に「日本人の肥満を合併する産科婦人科系疾患患者の診療ガイドラインを検討する日本日本産婦人科学会・日本肥満学会・日本肥症治療学会3 学会合同委員会の設置」を提案

以上