日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果
発表者
ご氏名 | 寺内 康夫 先生 | |||||||||||||||||||||||||||
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参画学会 | 一般社団法人 日本糖尿病学会 | |||||||||||||||||||||||||||
ご所属 | 横浜市立大学大学院医学研究科分子内分泌・糖尿病内科学 | |||||||||||||||||||||||||||
ご講演タイトル | 減量と糖尿病の改善について | |||||||||||||||||||||||||||
略歴 |
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ご発表内容の要約
まず、2型糖尿病発症・進展における肥満の関与について、高脂肪食による肥満・インスリン抵抗性とインスリン分泌低下が合わさって初めて2型糖尿病を発症するというマウス個体レベルの成績、東アジア人は皮下脂肪に脂肪を蓄積しにくいという臨床成績を紹介し、日本人はBMIが正常範囲内であっても皮下脂肪に脂肪を貯蔵できないため、脂肪肝や筋インスリン抵抗性を生じ、代謝異常や2型糖尿病を発症しやすい「リピッドスピルオーバー」学説を提示した。
続いて、減量による糖尿病の改善に関して、体重減少量と2型糖尿病の寛解率との関係を検証したDiRECT試験、早期介入による体重・血糖管理への影響を検証したDIADEM-I試験の概要を紹介し、減量が糖尿病の改善にとって重要であるエビデンスを紹介した。
引き続き、国内外の2型糖尿病治療アルゴリズムを紹介した。欧米人2型糖尿病では心腎ハイリスク者のリスク低減、具体的には動脈硬化性疾患、心不全、慢性腎臓病を意識した薬物療法と、血糖・体重管理の二本立てになっており、治療停滞が起こらないように定期的な見直しが必要である。一方、日本人2型糖尿病では、日本糖尿病学会が唱える2型糖尿病の薬物療法の新しいアルゴリズム(第2版)に基づき、非肥満(インスリン分泌不全を想定)・肥満(インスリン抵抗性を想定)という病態に応じた薬剤選択、安全性への配慮、Additional benefitsを考慮すべき併存疾患(慢性腎臓病・心不全・心血管疾患)に対してエビデンスが証明されている薬剤、服薬継続率やコストといった観点から薬剤を選択すること、目標HbA1cを達成できなかった場合は、病態や合併症に沿った食事療法、運動療法、生活習慣改善を促すと同時に、冒頭に立ち返り、インスリン適応の再評価も含めて薬剤の追加等を検討する必要があることを紹介した。
最後に、これまで報告された糖尿病臨床試験の中で、体重減少を伴う糖尿病治療と体重増加を伴う糖尿病治療が心血管イベントに及ぼす影響をメタ解析した論文 (Diallo A, et al. Diabetes Obes Metab. 26(2): 495-502, 2024)を紹介した。心筋梗塞に関しては体重減少を伴う糖尿病治療と体重増加を伴う糖尿病治療の間で差は認めなかったが、心不全、腎不全、心血管死、総死亡に関しては体重減少を伴う糖尿病治療の方が優れていた。
以上、減量と糖尿病の改善について論じた。