Last update : 2024.07.10

日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果

発表者

ご氏名 竹本 稔 先生
参画学会 一般社団法人 日本動脈硬化学会
ご所属 国際医療福祉大学医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科学
ご講演タイトル 動脈硬化性疾発症・進展予防のための肥満症へのアプローチ
略歴
1993年 富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒業
2000年 新潟大学大学院医学研究科博士課程(内科系)修了
2000年 スウェーデン国立イエテボリ大学(ポスドク)
2005年 スウェーデン国立カロリンスカ医科学研究所(Assistant prof)
2011年 千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学 助教
2012年 千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学 講師
2014年 千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学 准教授
2017年
4月
国際医療福祉大学医学部 糖尿病・代謝・
内分泌内科学 教授(代表)
2020年
4月
国際医療福祉大学 成田病院 糖尿病・代謝・
内分泌内科部長(兼任)
2022年
4月
国際医療福祉大学 成田病院 予防医学センター長
(兼任)

ご発表内容の要約

肥満に起因ないし関連する健康障害の中に、脂質異常症、冠動脈疾患、脳梗塞・脳血栓症・一過性脳虚血発作が含まれ、肥満と脂質異常症、動脈硬化硬化は密に関連することが知られる。特に、肥満を伴ったインスリン抵抗性の強い2型糖尿病患者では高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、高LDLコレステロール血症などの脂質の量的な変化に加え、カイロミクロイン、VLDLそれぞれのレムナントの増加、small dense LDLの出現など脂質の質的な変化が動脈硬化疾患の発症・進展を加速させる。動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では、肥満者においては、総エネルギー摂取量を制限して減量し適正な体重を維持することにより血清脂質が改善するため推奨しており、肥満の場合は現在の体重から3%以上の減少を3~6か月で達成することを目標にしている。また肥満者においては、総エネルギー摂取量を制限することによって減量し血清脂質異常を含む代謝異常の改善をはかることが、動脈硬化性疾患の発症を予防できる可能性があるために推奨している。さらに日本動脈硬化学会では、動脈硬化性疾患予防のために肉の脂身や動物脂(牛脂、ラード、バター)、加工肉を控え、大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物、未精製穀物類を合わせて食べる減塩した日本食パターンの食事は血清脂質を改善し、動脈硬化性疾患の予防が期待されるため推奨している。日本食パターンの食事が血清脂質を改善し(J Atheroscler Thromb, 2019;26:3-13)、全死亡、心血管死を減少させることが報告されている(Br J Nutr. 2018 ;120:464-471.)。
このような背景の下、日本動脈硬化学会ではTEAM事業の一環として、動脈硬化性疾患 (ASCVD) 予防および治療を目標とし、メタボリックシンドローム・脂質異常症に対して日本食パターンを基にした生活習慣改善の周知普及活動が行われている。

以上