Last update : 2024.07.10

日本医学会連合TEAM事業・日本肥満学会・
日本肥満症治療学会 合同企画シンポジウム
【第1部】肥満症に伴う各々の健康障害の発症・進展
とBMIの関係と減量による改善効果

発表者

ご氏名 樋口 毅 先生
参画学会 公益社団法人 日本産科婦人科学会
ご所属 弘前大学 大学院 保健学研究科 看護学領域
ご講演タイトル 肥満回避と産婦人科疾患の予後
職歴
昭和62年 3月 弘前大学医学部卒業
昭和62年 4月 弘前大学産科婦人科学教室入局
平成2年 10月 弘前大学医学部助手
平成12年 2月 弘前大学医学部附属病院 講師
平成23年 5月 弘前大学医学部附属病院 准教授
(周産母子センター)
平成24年 9月 弘前大学大学院 保健学研究科/医学部 
保健学科 教授
学会活動
令和3年 6月 日本産科婦人科学会 女性ヘルスケア委員会 
副委員長
令和5年 6月 日本産科婦人科学会 女性ヘルスケア委員会 
委員長

ご発表内容の要約

日本産科婦人科学会には大きく4つのサブスペシャリティがあり、本学会でも、肥満はどの領域においても関心事である。例えば、周産期医学では、妊娠前のBMI 25を超えると妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病の、婦人科腫瘍学では子宮体癌、生殖内分泌学では多嚢胞性卵巣症候群、女性医学(女性ヘルスケア)では月経異常、メタボリック症候群のリスクが増加することがわかっている。
本シンポジウムでは、産婦人科領域においてサブスペシャリティ横断的で、かつガイドライン作成も進んでいる妊娠糖尿病既往女性、また多嚢胞性卵巣症候群における肥満の影響と管理の重要性について主に説明した。
妊娠糖尿病既往は将来的に2型糖尿病の発症リスクが高いことが従来わかっており、これに対して生活習慣介入による体重の有意低下(1.00kg減少,95%C.I. -1.32, -0.68)、また2型糖尿病の発症率の有意低下(OR 0.70, 95% C.I. 0.52, 0.95)をメタ解析で確認しフォローアップのアルゴリズムを提案している(図)1)。CQについての解説等は、文献を参照していただきたい。
多嚢胞性卵巣症候群においては、本邦で作成中のガイドライン2)から月経異常、妊孕性、周産期合併症、子宮体癌に対して減量・代謝改善手術がどの様な効果をもたらすのかを紹介した。
妊娠糖尿病も多嚢胞性卵巣症候群も若い女性の疾患と認識されるが、その病態に密接な関連を有する肥満については長期的な視点から見てゆくことが重要である。

引用文献
1)杉山 隆,平松 祐司. 妊娠糖尿病既往女性のフォラーアップに関するガイドライン.
https://dm-net.co.jp/jsdp/research/gdmguidelines.pdf (20240609 閲覧)

2)杉山 隆. 月経異常、不妊,減量・代謝改善手術のための
包括的な肥満症治療ガイドライン. 日本肥満症治療学会編(2024年7月発行予定)

図:妊娠糖尿病既往女性の診療アルゴリズム

図 妊娠糖尿病既往女性の診療アルゴリズム